【紹介】「未完の憲法」(奥平康弘X木村草太)を読む

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たくお

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どーも、たくお、です。就労移行支援事業所を経て外資系総合人材会社に就職しました。音楽は、ユニコーンと奥田民生、スピッツ。食べ物は、ラーメン・つけ麺が好きです。チーズが食べられません。2019年6月から禁酒中です。

どーも、憲法に関する書籍を読むのが好きな、たくお、です。

憲法学会の重鎮である奥平康弘・東京大学名誉教授(故人)と気鋭の憲法学者である木村草太・首都大学東京准教授(現在・教授)の対談がまとめられた書籍が発売されました(2014年5月)。

タイトルは「未完の憲法」です。

「憲法制定権力が国民にある」(国民主権)

本書は「立憲主義」の話題から始まります。

なぜか?それは、2013年という年は、安倍晋三首相が「改憲」の動きを推し進めて行ったこともあって「立憲主義」という言葉が一般世間で、マスコミでも多く取り上げられたからです。

2013年に立憲主義という言葉が盛んに使われ始めたんですね。

それから6年(2019年)経ち立憲主義という言葉は、なお使われていますが立憲主義という言葉の意味の捉え方は様々です。

どちらが正解で、どちらが間違っているということではなくて、立憲主義の理解の仕方が多義的なんだと思います。

その国の歴史によっても違ってきますが、日本では、日本国憲法が制定された当時、「国体護持」が前面に出て、「憲法制定権力が国民にある」(国民主権)ことがほとんど強調されませんでした

それが後々の憲法教育に少なからず影響を与えるわけですが、民主主義と立憲主義との関係についても話題が及びます。民主主義=過半数という捉え方に疑問を投げかけます。

改憲論議をどう見るか?

第2章は、改憲論議をどう見るか?について。

冒頭に天皇制について触れられています。天皇の退位によって元号が平成から令和に変わりました。

テレビの報道を見ていると天皇は国民から「愛されている」ように見えます。

なぜ、天皇制への愛着が日本で根付いたのかについての議論がされています。

日本国憲法が作られるときのエピソードとその後の憲法教育に与えた影響など、国民の感情に基づいた議論でとても興味深いです。

続いて、自民党の改憲草案について。

「押し付け憲法論」について触れられています。一方的に押しつけられた憲法ではないことを歴史的経緯に触れて強調しています。

ただ自民党は憲法を変えて何がしたいのかということに関してははっきりしません。

ただ単に改憲をしたと言う実績だけが欲しいのだと言う見方も成立すると。

奥平先生と木村先生の見解は異なりますが、9条について語る場合には国連が重要なキーワードになるという点では一致します。

また、これから国際社会の中で日本が目指すべき位置についても9条の理念が大きな力を発揮するという点は私も共感しました。

現代の憲法をめぐる状況と課題

最近の表現の自由をめぐる問題について。

権力の側がデモなどを取り締まった時代から、これまでは表現の自由の問題とはならなかった「事件」が最高裁で認められます。

読者への配慮もあってか、時代の変化とともに表現の自由の問題が広がりを見せている状況を難しいながらも噛み砕いて議論しています。

PTA問題は、強制加入が「なんかおかしい」と少なからずの人が思ってきたわけですが、木村先生は憲法問題として議論に参加しています。

もちろん、反発もありますが、誰かが波風を起こすことが必要だと強調します。

ヘイトスピーチ(憎悪表現)と「表現の自由」についても議論します。

被害者が特定できるヘイトスピーチについては規制できますが、特定できない場合についてまで規制することが果たして良いのか。

難しい憲法問題です。

奥平先生は、何でもかんでも裁判所に持ち込むことについては慎重です。

できるだけ「文化の力」で解決すべきだと、その上でやはり刑事告訴することには慎重です。

日本国憲法の可能性と日本の進路

改めて立憲主義についての重要性がこもごも語られます。

ただ、日本では「憲法とはなにか」ということがあまり議論されずに憲法ができたという経緯があります。

でも、そのこととは別に憲法の持っている価値は話が別だと強調します。

日本国憲法が完璧な憲法とは思っておらず変えたい部分はあると改憲論者であることを告白します。

が、自民党の中身とはだいぶ違うと思いますが。

私の感想

憲法研究の重鎮である奥平康弘先生と新進気鋭の木村草太先生の夢のような対談が実現しました。

本書は2014年5月初版ですから、発売からすでに数年が経過しています。

しかし、今(2019年8月)読んでもとても新鮮な内容になっています。

改めて本書を読み返して憲法を理解するための「立憲主義」から、つい最近のことと思えるヘイトスピーチやPTA問題。表現の自由をめぐる諸問題についても「通用」する内容になっています。

社会問題の憲法的視点からの対談は飽きることなく一気に読み進めることができました。

まとめ

じつは木村草太先生がTwitterで奥平康弘先生との対談本を出版したい。だれか出版社を紹介してくれないかと呟いているのを目にして、ある出版社を紹介しようと木村先生に打診したことがあります(先生は忘れていると思いますが)。

それからほどなくして本書が出版されました。ですから、なんとなく身近な存在に思えます。

そんな思い入れのある本書ですから、ぜひチェックしてみてください。

たくお

たくお

どーも、たくお、です。就労移行支援事業所を経て外資系総合人材会社に就職しました。音楽は、ユニコーンと奥田民生、スピッツ。食べ物は、ラーメン・つけ麺が好きです。チーズが食べられません。2019年6月から禁酒中です。

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