【書籍・紹介】「自衛隊と憲法〜これからの改憲論議のために」(木村草太・著)の読み方

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たくお

たくお

どーも、たくお、です。就労移行支援事業所を経て外資系総合人材会社に就職しました。音楽は、ユニコーンと奥田民生、スピッツ。食べ物は、ラーメン・つけ麺が好きです。チーズが食べられません。2019年6月から禁酒中です。

どーも、憲法に関する書籍を読むのが好きな、たくお、です。

安倍首相は首相在職期間中に憲法を「改正」したいと考えています。

「改正」の具体的な中身は色々と変遷がありましたが最近は、憲法9条に自衛隊を書き込むと言っています。

みなさんは憲法に自衛隊を書き込むとどうなるのか、というイメージを持つことができるでしょうか。

この点についてはあまり議論されていないように思います。

もちろん「憲法改正」をテーマにした書籍は少なからず出版されています

しかし、著者の木村草太・首都大学東京教授(憲法学)は

前提となる知識を正確かつ体系的に、そして分かりやすく説明する本は、あまりにも少ないように感じています

と本書の「はじめに」で述べたうえで、

本書では、憲法と自衛隊の関係について、適切に整理しました。

と本書を出版した意図と立場を明らかにしています。

前置きが長くなりました。それでは本書の章立てに沿ってそのエッセンスをご紹介します。

序章:憲法改正の手続き

序章ですから、これから本題に入る前のウオーミングアップだと思ってください。

憲法改正手続きを定めた96条の条文を出発点に、「国会の発議手続」「国民投票の手続」を改めて確認します。

第1章:国際法と武力行使

武力行使は、国際社会に大きな影響を与える。

だから、武力行使は国際法によっても厳しく規律されていることを、冒頭で確認します。ですから、国際法が重要なんですね。

日本国憲法を理解する前提として、国際法の内容を確認しましょう。

と述べ、19世紀の国際法から20世紀の国際法へ、2度の世界大戦をへて、武力行使が原則として禁止されることになったこと。

そして、個別的自衛権・集団的自衛権の行使条件を整理します。

第2章:憲法9条とその意義

第1章では最後に国連の安保理決議について触れられていますが、次は、国内へと目を向けます。

つまり「日本国憲法の武力行使の統制についての規定」(木村草太教授)です。

「立憲的意味の憲法」への歴史的な流れを概観して憲法のそもそも論について確認したのち、憲法9条の解釈へと進みます。

憲法学者らしく解釈論を述べますが、「憲法9条の読み方」としては

軍・戦力一般を持ってはいけないとする武力行使一般禁止説の方が素直でしょう。

と。

結論を述べてしいましたが、解釈論について興味がある方は本書をお読みください。

第3章:政府の憲法9条解釈

この章では、日本政府が憲法9条をどのように解釈しているのかです。

みなさん覚えていますか?2014年7月1日の閣議決定を。5年前のことですから覚えていないのは無理もありませんが、この閣議決定は

それまでの政府解釈では認められていなかった集団的自衛権の行使を限定的に容認した

ことで、有名なんですよね。

この閣議決定では政府の憲法9条解釈についても述べられておりますが、3つのポイントに整理してそれぞれの解説をします。

第2のポイントとして平和的生存権(前文)と憲法13条についての検討に入ります。

「自衛隊と『軍』・『戦力』の概念」「自衛隊の組織上の位置付け」「憲法9条と国際法の関係」へと展開していきます。

第4章:裁判所の憲法9条解釈

政府の憲法9条解釈の次は、裁判所の憲法9条解釈です。

ここで検討する前段階として「『法解釈』とはどのような営みかを確認」する作業から始まります。

ここまでも十分なんですが本書を読み進めてくると、木村草太教授はかなり丁寧に議論を積み重ねるという姿勢でいることがわかります。

法解釈について検討と解説の次は、「自衛隊の合憲性に関する最高裁判決」について。

実は、地方裁判所のレベルでは自衛隊の合憲性を判断した判決もあるのですが、最高裁が、この問題を判断したことはありません

ただ、検討の材料として「恵庭事件」「長沼ナイキ事件」「百里基地訴訟」という3つの事件を取り上げていますので興味のある人は調べてみてください。

自衛隊の合憲性について判断したことのない最高裁ですが、日米安保条約については、最高裁判例があります。砂川判決と呼ばれています。

第5章:自衛隊関係法の体系

「自衛隊の組織と任務」の検討から入ります。1950年の警察予備隊設置から保安隊(1952年)、自衛隊(1954年)へ、そして現在(平成29年3月31日時点)の組織を概観(陸・海・空自衛官計24万4893人など)します。

そして「『武力行使』・『武器使用』・『戦闘』の用語」について正しく理解することが必要なことから、これら用語の解説と確認をします。

「国内で起きる事態に対する行動」を自衛隊法を引用しつつ検討したのち「国外で起きる事態に対する行動」に移ります。

第6章:2015年安保法制と集団的自衛権

この章でも歴史的に振り返ります。

「2015年安保法制の制定経緯」から始まり「2015年安保法制の内容」へ。そして安保法制の評価について「2015年安保法制の問題」として検討します。

木村教授は、①法案審議の方法、②自衛隊位の安全確保、③弾薬提供・戦闘機給油の解禁、④事後的な責任追及の手続き、についての問題点を指摘します。

これらの問題点に加えて、2015年安保法制の集団的自衛権行使が憲法違反だという強い批判があることについて詳しく検討します。

木村教授は国会で公聴人として意見を述べています(2015年7月13日)。

そこでは「今までのところ、政府が我が国の存立という言葉の明確な定義を示さないため、存立危機事態条項の内容は余りにも漠然、不明確なものになって」いて

「存立危機事態条項は、憲法9条違反である以前に、そもそも、漠然、不明確ゆえに違憲の評価を受ける」

べきだと指摘しています。

第7章:自衛隊明記改憲について

ようやく、ここまでたどり着きました。

木村教授は、安倍首相が「自衛隊違憲論に終止符を打つ」ことを掲げていることに対し「改憲という重大な手続きを経なければならないほど、国民の間に自衛隊違憲論が根付いているのでしょうか。」と問いかけます。

内閣府の世論調査や共同通信などの世論調査結果を概観した上で、

多くの国民は「個別的自衛権の行使や、そのための必要最小限度の実力である自衛隊の設置は憲法9条に違反しない」と考えています

これに対し、集団的自衛権の行使容認には、かなり強い違憲の疑いがある状態です。

と結論づけて、このような状況のもとで、多大なコストをかけてまで改憲を行う必要が本当にあるのでしょうかと、問いかけます。

必要があるとすれば「集団的自衛権の行使を容認するか否か」について国民の意思を問うことではないかと指摘します。

このように指摘しながらも木村教授は、安倍首相の言う「自衛隊明記改憲」をまじめにやろうとすると、どのような発議をすることになるのでしょうか、問題提起します。

憲法に自衛隊を明記するだけでは、自衛隊が何をやる組織かがわからない。

国民の間でも、「災害時に支援する組織」から「侵略国を排除する組織」までそれぞれで収拾がつかなくなると懸念点を指摘します。

この点を①個別的自衛権限定型、②集団的自衛権行使容認明記型、③国防軍創設型と3つの想定される議論を検討します。

いずれにせよ、自衛隊の任務の書き方としては「安倍政権にとって厳しい帰結がまっています」として、どのような手を取るのが最善なのかと前置きした上で、「任務曖昧化」作戦に打って出るのではないか、実際に自民党内での検討が進められていると。

でも、この手は「あまりに卑怯でしょう」と批判します。

その他の話題になっていることとして
第8章:緊急事態条項について

第9章:その他の改憲提案について

①教育無償化、②参議院合区解消、③憲法裁判所の設置、④衆議院解散制限権と憲法53条の期限設定、⑤死刑制度や原発問題について、検討していますので、ご興味のある人は、ぜひ本書を手にとってお読みいただければとおもいます。

まとめ

かなり端折って、本書のエッセンスをお伝えしてきました。

木村草太教授の真意を上手く伝えられたとは思っていませんが、私なりに注目したい点、みなさんにお伝えしたい点について書いたつもりです。

もし、本書について興味を持たれたのであれば、ぜひ手にとってお読みいただければと思います。

たくお

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どーも、たくお、です。就労移行支援事業所を経て外資系総合人材会社に就職しました。音楽は、ユニコーンと奥田民生、スピッツ。食べ物は、ラーメン・つけ麺が好きです。チーズが食べられません。2019年6月から禁酒中です。

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